環境温度駆動型アクチュエータを用いた探査ローバー移動機構
 (小惑星探査船「はやぶさ2」のローバー「ミネルバII2」へ搭載)

「はやぶさ2」は、2014年12月3日に打ち上げられ、小惑星1999JU3を目指して宇宙を航行中です。小惑星に投下して地表を移動しながら観測する複数の探査ローバーも搭載されています。
・MINERVA−II-1(ISYS/JAXA、会津大) *さらに2つのローバー搭載
・MINERVA-II-2(東北大、東京電機大、大阪大、山形大)

小惑星表面は重力が非常に小さいため、各ローバーともホップしながら移動し、そのための各種の移動機構が開発されました。MINERVA-II-2は幅15cm、高さ15cm、重量約900gのローバーであり、小惑星の微小重力下における複数の移動機構を検証する工学実験が目的です。また、カメラ画像撮影などのミッションも行われます。

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山形大学では、MINERVA-II-2に搭載された移動機構の1台を担当しました。日照の有無によって生まれる大きな温度差を利用しバイメタルをアクチュエータに用いた「環境駆動型」移動機構を考案して開発しました。バイメタルは膨張率の異なる2種類の合金薄板を積層したものであり、温度変化によって曲がろうとし、限界点を超えると瞬間的に反対側に反る座屈型(峯田研が主に開発)と、磁石から外れて瞬間的に反る磁気ラッチ型(妻木研が主に開発)の2種類を搭載しています。それぞれ高温域と低温域に動作温度をずらして設定し、MINERUVA-II-2の投下位置や周囲の状況によって環境温度が変わっても、どちらかが対応できる可能性を高めています。この小惑星の自転周期は約8時間であり、朝夕に相当する4時間ごとにランダムな方向へホッピング動作します。

環境温度駆動型のMINERVA-II-2跳躍移動機構
(座屈型および磁石ラッチ型バイメタルアクチュエータ)


(c) MINERVA-II-2 consortium

座屈型バイメタルアクチュエータの動作原理

探査ローバーMINERVA-II-2はサイズが小さく、取り付ける太陽電池パネルも限られますが、
我々の異動機構は、電力やCPU制御を使わず環境温度の変化だけで動作する原理であり、長
期にわたって動作し続けることが期待されます。